帰りの電車、そこまで混雑していない特急にすごい女の子が乗ってきました。
ボインボインでパッツンパッツンの女の子です。

こんなとこ乗ってきたらオッサンの餌食だろうに——
と、思って見ていたら案の定ふとももにさり気なく触れるオヤジが現れます。

まぁ、きっとこの程度なら慣れてる子なんでしょう。
なんたってケータイに暴走族の日章旗を貼ってる子ですし。
あまり気にしてはいないようです。

僕も正義の熱血漢ではないので黙認です。
(言いがかりだと言われたら困るし怖いし)


そしたらなんとオヤジがファイヤーし始めたではないですか。
にじりにじりと女の子に詰めより、自分の一物を押しつけているように見えます。

女の子もかなり嫌がってます。

でもまだ僕は動けません。
やっぱり、怖い!



しかしその時、僕は見てしまいました。


女の子が、泣いているのです。


もうそっからは無意識でした。
オヤジのコートを引っ張り、女の子を引き寄せ、オヤジをドアに押しつけます。




でも、そこまででした。

女の子は俯き、「大丈夫…」とだけ呟きました。

僕はそこからオヤジを裁く敢然たる勇気に欠けていたのです。
怒声の一つもあげられずただ到着を待つばかりでした。

電車男って本当に勇気のある人です。
僕はとても出来ません…。




この話は武勇伝でもなく、ネタでもありません。
痴漢がいかに女性を傷つけるか、そしてその行為がいかに怖ろしく、愚かに映るかを、僕の失敗から知ってもらいたかったのです。

たとえそれが偽善だとしても。 。